シリコーンゴムの加硫・成形

シリコーンゴムの加硫・成形

2016年09月14日(水)6:00 PM

 ⅰ)熱風加硫
   押出品を連続加硫する場合に、最も一般的に使用される方法です。
   一般に315~430℃程度の熱風炉の中を押出品を通過させることによって加硫します。肉薄品では、数秒
   で完了します。
 ⅱ)熱媒加硫
   熱媒加硫は熱風加硫に比べ加硫速度が2倍になります。欠点としては熱媒による火傷、熱媒の除去装置の
   設置などが必要になります。熱媒として使用される液体には、次の性能が要求されます。
    ・シリコーンゴムを侵さないこと
    ・熱的に安定なこと(200~300℃)
    ・引火点が200~230℃以上であること
 ⅲ)オートクレーブ加硫
   押出品を蒸気ガマで加硫することがあります。この場合は、押出品を皿の上に巻き取って加硫するため、
   連続的に加硫することはできません。巻いて加硫するため、巻癖などが残る場合があります。
e)カレンダー成形
 ほとんどのシリコーンゴムは、カレンダー成形が可能です。カレンダー成形は均一な長尺物のシート成形に適
 しています。
f)コーティング成形
 シリコーンゴムは溶剤にとかし、ガラスクロス、テトロン布、ナイロン布やその他の布にコーティングすること
 が出来ます。シリコーンゴムをコーティングした布は、電気絶縁性に優れ、布の屈曲強さおよび耐水性を向上
 させます。カレンダー成形の場合の接着性の向上にも有効です。
 大部分のシリコーンゴムは溶剤を使用し、ディスパージョン化することが出来ます。溶剤には、キシレン、ト
 ルエン、メチルエチルケトン(MEK)等が使用されます。塩素系溶剤は、加硫剤と反応し寿命を短くします
 ので注意が必要です。加硫剤はベンゾイルパーオキサイドが最適です。溶剤乾燥時に分解せず、揮発しないこ
 とが必要です。しかし、ベンゾイルパーオキサイドでも一部揮発しますので、加硫剤を多めにし、ゴムに対し
 て4%程度の濃度が必要です。塗布方法は、ディッピング法、ナイフまたはロッドコーティング、ロールコーテ
 ィング等の方法で行います。
g)巻きむし成形
 シリコーンゴムのホース、ダクト、大口径チューブ、ロールなどは、巻きむし法で成形加工される場合があり
 ます。この方法は、マンドレルまたは針金に未加硫シリコーンゴムシートやカレンダー出しした未加硫ゴムの
 布入りテープなどで巻きつけて成形します。
h)シリコーンゴムの接着
 シリコーンゴムは、金属、ガラス、陶磁器、プラスチック、布、シリコーンゴム等と接着して使用されること
 があります。この接着には2種類の方法があります。
 ⅰ)未加硫ゴムを使用してゴムの加硫時に接着する方法
   被着体表面を十分に洗浄、脱脂した後、表面にプライマーを塗布します。一般にプライマー中には、加水
   分解して接着膜を作る成分があるので、溶剤を含め、常温で30~60分の乾燥時価が必要です。
   その後加硫剤が練りこまれた未加硫ゴムをのせ、加熱・加圧し加硫圧着します。
 ⅱ)接着剤を使用し接着する方法
   加硫ゴムと同種の未加硫ゴムは、容易に加熱、加圧化で加硫することにより接着できますので、接着部に
   未加硫ゴムを充填することによって接着が可能です。加熱、加圧が出来ない場合は、室温硬化型シリコー
   ンゴムを充填することによって接着が可能です。この場合も脱脂等の前処理は必要で、プライマーの必要
   な場合もあります。
 i)二次加硫
 シリコーンゴム成形品は、一般的に二次加硫されます。その主な目的は次の二つです。
   ・加硫剤の分解、残渣の除去
   ・成形品が使用される温度以上に熱履歴を与えて、使用時の熱安定性を付与する。
 これらの目的のために、通常循環式オーブンが使用されます。用途によっては、煮沸処理等が必要なものもあ
 ります。 
 



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