シリコーンゴムの性質

シリコーンゴムの性質

2016年09月20日(火)11:19 AM

③シリコーンゴムの性質
a)耐熱性
 シリコーン樹脂の主鎖は、ケイ素ー酸素結合です。これに対し、有機合成ゴムの主鎖は、炭素ー炭素結合です
 。両者の結合エネルギーを比較しますと、前者は108kcal/mol、後者は82.6kcal/molとなり、この結合エネル
 ギーの差が、シリコーンゴムが有機合成ゴムより耐熱性が優れている主因となっています。
 シリコーンゴムの耐熱使用範囲は、一般的には260℃までとなっています。
 シリコーンゴムの劣化には二種類あります。一つは、樹脂が分解して軟化するもので、主に密封状態で加熱し
 た場合にみられるものです。加硫剤分解残渣、水分、その他不純物がシリコーンゴム中に含まれると起こりや
 すい現象です。もう一つの劣化現象は、加熱により、樹脂間の架橋がさらに進行し、もしくは転移して硬度が
 増して脆くなる現象です。
 個々のシリコーンゴムの耐熱性は、その配合、成形条件などにより異なりますが、耐熱性を左右する主因子を
 次にあげます。
   ・使用する生ゴムの種類
   ・耐熱安定剤の種類
   ・充填剤の種類
   ・加硫剤の種類と二次加硫
 また、シリコーンゴムは熱老化が小さいだけでなく、温度による特性の変化が少ないため、高温雰囲気中でも
 、ある程度強度を維持します。常温では、有機合成ゴムの物理特性は優れていますが、150℃以上の高温では
 、シリコーンゴムの方が優れた物理特性を示します。
b)耐寒性
 シリコーンゴムは非結晶質であるため、諸性能の温度依存性がたの有機合成ゴムに比べて小さいのが特徴です
 。特に、低温になっても硬さの変化が少なく、ゴム常弾性体として使用できます。生ゴムにフェニル基を含む
 ものは、脆化温度が-115℃にも達し、-90℃での使用が可能です。ジメチルシリコーンゴムおよびこれに少
 量のビニル基を含むビニルシリコーンゴムを使用したものは、脆化温度-70~-80℃で、-40~-55℃まで
 の低温での使用が可能です。
c)耐候性(耐オゾン性)
 シリコーンゴムは、酸素、オゾン、紫外線に対し、他の有機合成ゴムと比較して著しく安定です。長期間野外
 に放置されても、クラックを発生したり、粘着性を帯びたりすることはありません。
d)電気特性
 シリコーンゴムの電気特性は、温度、周波数などの影響が少なく、電気絶縁材料として優れた特性を示します
 。更に、分子中の炭素原子が少ないことや、使用される充填剤がカーボンブラックではないことなどの理由で
 、耐アーク特性や耐トラッキング特性に非常に優れています。個々のシリコーンゴムの電気特性は、使用する
 充填剤やその他の配合材料の影響を受けます。たとえば、補強充填剤に湿式シリカを使用した場合、シリカに
 含まれる不純物(ナトリウム化合物、水分等)の影響のため、電気特性は一般に乾式シリカを使用した場合よ
 り劣ります。シリコーンゴムには導電性シリコーンゴムと呼ばれる種類のものがあります。これは、一般のシ
 リコーンゴムを基本組成とし、これに電気伝導性材料を配合したものです。
 シリコーンゴムに導電性粒子や導電性繊維やナノ化合物を入れることによって、感圧や異方向導電性を持たせ
 るのに使用されています。 



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