シリコーンオイルの各特性

シリコーンオイルの各特性

2016年07月12日(火)7:15 PM

シリコーンは、シリコーンオイル、シリコーンゴム、消泡剤、シランカップリング剤、シリコーンレジン(シリコーン樹脂)等が主な種類になります。
今回は、シリコーンオイルについて述べます。
A.シリコーンオイル
シリコーンオイルは鉱物・植物油などの有機系オイルに比べて、a)耐熱性・耐寒性に優れている。b)表面張力が小さい。c)化学的・生理的に不活性である。d)温度による粘度の変化が少ない。等の優れた性能を持っているので、機械・電気・化学の分野で使用されています。
シリコーンオイルの種類は、非反応型と反応型(末端基が水素、水酸基、アルコキシ基、アシロキシ基などを含む)に分類されます。
非反応型は、メチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロロフェニルシリコーンオイル、アルキルシリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル等があります。
反応型は、メチル水素シリコーンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、アルコキシ基含有シリコーンオイル、アセトキシ基含有シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル(後半3つは変性シリコーンオイルになります)等があります。
Ⅰ)物理的特性
特徴   ①粘度;鉱物油に比べて、粘度変化は少ないです。
       ②容積・比重;容積・比重は、温度によって大きく変化します。鉱物油より変化が大きい。
   ③低温特性;流動点が低くかなりの低温でも流動性を持っています。(フェニルメチルシリコーンオイル
            は-70℃以下まで流動性を失いません。)
   ④シリコーンオイルの比熱は、粘度、温度によってわずかに変化しますが、代表的なジメチルシリコーン
            オイルでは、熱伝導率は水の3割程度です。
   ⑤表面張力;シリコーンオイルは、一般の油・溶剤に比べて、拡散しやすく、隙間にも浸透・含浸する性
            格を持っています。この性格を利用して消泡剤・レべリング剤等に使用されています。
   ⑥吸湿性;本質的には、水との相溶性はありませんが、吸湿しやすいオイルです。
   ⑦撥水性;シリコーンオイルは、水との相溶性はありませんが、ガラス、陶器、建築資材などの機材に施
            工すると、撥水性が付与することが出来ます。
            このような性能を利用して、離型コーティング剤が 開発されています。 
   ⑧潤滑性シリコーンオイルは、耐熱性・耐寒性・粘度・温度特性・せん断安定性など潤滑油として理想的
        ですが、有機系潤滑油に対して潤滑性能が劣る場合があります。
Ⅱ)化学的特性
特徴   ①耐熱性;シリコーンオイルは、空気中での酸化に対して非常に安定で、ジメチルシリコーンオイルの場
            合、150℃以下では、ほとんど酸化は生じません。200℃以上になると酸化が始まり、メチル基の酸化
    生成物であるホルムアルデヒド・ギ酸等が発生し、粘度増加後ゲル化に至ります。
    ジメチルシリコーンオイルのゲル化時間は、250℃で100~200時間になります。フェニルメチルシリコ
    ーンオイルはさらに酸化しにくくフェニル基が50%の場合は、300℃のゲル化時間は、500時間程度に
    なります。
   ②化学的安定性;シリコーンオイルは、強酸・強アルカリが少量でも共存する高温下でのゲル化が早く
      なります。一般金属、例えばアルミニウム・銅・ニッケル等はほとんど影響を与えませんが、鉛・セレ
    ン・テルル等は高温下ではシリコーンオイルのゲル化を促進しますので、注意が必要です。
         ③腐食性;シリコーンオイルは通常の条件下では不活性であるので、金属を腐食することはありません。
         ④溶解性;シリコーンオイルは、非極性溶剤には溶解しますが、極性溶剤には溶解しません。
             空気・窒素・二酸化炭素などは、鉱物油よりも多く溶解します。
Ⅲ)電気的特性
         ジメチルシリコーンオイル・フェニルメチルシリコーンオイルの電気特性は、鉱物油と比較して、シリコ
       ーンオイルは他の絶縁油と同等あるいはそれ以上の電気特性を持っています。
         ジメチルシリコーンオイルには、いろいろな粘度のものがありますが、粘度が増加してもほとんど特性に
         変化はありません。
   ジメチルシリコーンオイルの誘電率・誘電正接は、共に-100℃付近で最大値を示しています。
         ジメチルシリコーンオイルの含有水分量と誘電率・誘電正接・体積抵抗率・絶縁破壊電圧は、他の絶
   縁油と同様に含有水分量が増加すると、電気特性が悪くなります。特に、含有水分量が100PPMを超え
   ると電気特性は急速に低下するので、使用する場合は、シリコーンオイルが吸湿しやすい点も考慮に入れ
         て十分な水分管理が必要です。
Ⅳ)安全性
   ①燃焼性;シリコーンオイルは、他の絶縁油と比較して引火点および燃焼点が高く、極めて優れた難燃性
          を示します。シリコーンオイルが難燃性を示す理由はいろいろありますが、その中の一つに特異な燃焼
           の仕方があげられます。シリコーンオイルは燃焼を開始するとただちに、その燃焼している表面にシリ
           カの皮層とシリコーンゲル層を形成し始めます。シリコーンオイルが難燃性を示すのは、これらの層
           が、揮発成分の拡散を抑制し、同時に炎~輻射熱を反射・遮断するからである。
   ②毒性;一般的にシリコーンオイルは、生理学的に不活性で、ジメチルシリコーンオイルはLD50が
            35g/㎏以上です。この値は、毒性分類では、無毒に分類されます。
            亜急性経口毒性・慢性経口毒性・皮膚刺激は、ブランクのラットと同様に影響はありません。 



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